エフェクチュエーションとイノベーションの関係
エフェクチュエーションは起業家の実効理論として知られており、事業開発や起業の経験がある方なら、非常に納得性の高いものです。
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しかし、一方で「手持ちの手段から始めよ」、「許容可能な損失の範囲で実行せよ」など、いかにも草の根的なイメージがつきまといます。
納得性は高いが、これで本当にイノベーションにつながっていくのでしょうか?
私の答えはイエスです。
そもそも、エフェクチュエーションの発案者であるサラスバシー教授の研究対象は、実際にイノベーションを起こした起業家たちです。
エフェクチュエーションとイノベーションの関係を理解する鍵は、イノベーションのもともとの定義の確認です。
イノベーションの提唱者は、よく知られている通り経済学者のシュンペータです。異なるモノ・コトの組み合わせによってイノベーションが生まれることを「新結合」と言っています。
しかし、原典にあたると正しくは、Durchsetzung von neue Konbinationen こそが要諦だと言っています。これは、「新結合の遂行」と訳されました。遂行は意味が弱いので省略されて、主に「新結合」だけが取りざたされているのだというのが私の仮説です。
しかし、Duruchzetzung にはもっと強い意味があって、 「貫徹」と言った方がよりふさわしいでしょう。座して動かずというイメージです。
したがって、新結合をたゆまず続けること、「新結合の貫徹」こそがイノベーションの真の要諦と考えるべきです。
この視点から考えると、エフェクチュエーションの5原則のうち、
手中の鳥
クレイジーキルト
レモネード
は、新結合の概念に相当し、
許容可能な損失
飛行機の中のパイロット
は、貫徹の概念に相当することが自然に想像できます。
つまり、エフェクチュエーションの5原則の実践は、イノベーションへの近道であるというのが私の解釈です。
一見、草の根的で地道なエフェクチュエーションの取り組みが、大きなイノベーションにつながるという発想は、現場の我々を強く力づけるものではないでしょうか。特に企業内のイントレプレナーにとっては大きな拠り所となるでしょう。
一見大きなリスクを取るほど、大きなイノベーションにつながる錯覚がありますが、それは多くの場合無謀であるだけかもしれません。
リーンスタートアップや、破壊的イノベーションも同様にエフェクチュエーション的視点で整理できると考えています。
これはまた別の機会に書きたいと思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。