腰痛は脳が創り出したまぼろし ~思考の整理による苦痛からの脱出 その2 医療迷信とパラダイムシフトの奇跡~
前回は、42歳の厄年で腰椎椎間板ヘルニアが再発したところまででした。ときおり襲う痛みは経験したことのないもので、
「舌を噛まないように、タオルをくわえて、うずくまってウゥーと唸る」
というさながら、地獄絵図のような状況でした。
こうなると藁をもつかむ気持ちで、なにか参考になる情報はないか、病床で必死になってネット検索しました。爪をもむというのから、ゴムチューブでの逆さ吊りまで、いろいろありましたが、最後に出会ったのがこの本でした。
サーノ博士のヒーリング・バックペイン: 腰痛・肩こりの原因と治療 ジョン・E. サーノ
注:この本は腰痛持ちにとっては金字塔ともいえるものですが、記述が難しいので、ちょっと誤解を招いたり、少し理論が古いところもあるので、初心者(笑)にはお勧めしません。もっと実用的な良書は別途ご紹介します。
当時の私は、Amazonの即日便で注文し、痛みでのたうちまわりながら必死でこの本を読み込みました。腰痛にまつわる医療迷信、医療の誤謬、新しい仮説について書いてあるのですが、これがいちいち目からうろこなのです。
さらに調べて行くと、この本の翻訳者の一人である長谷川先生が、腰痛に関する医療迷信と戦う活動をされていることがわかりました。
このサイトにはBBSがあり、腰痛の諸先輩方と会話を始めました。そして、腰痛のかなりの部分は、医療迷信に関わるいわば「呪い」のためであることがわかってきたのです。前回書きましたが、私の囚われていた「呪い」は、
看護師「必ず再発する」
医師 「2度目の手術は効果の保証ができない」
「安静にしていないといけない」
というものでした。そして、そのような「呪い」をかけられた瞬間から痛みが強くなるという経験をしたのです。後にわかるのですが、これはそのような「呪い」による思い込み=負のパラダイムが、存在しない痛みを創りだしているかもしれないのです。痛みの記憶の再生といってもよいかもしれません。
そしてここからがまさに「奇跡」なのですが、そういう気づきによって、負のパラダイムが徐々に崩れて行き、本当に痛みがなくなってくるのです。
まさに地獄絵図のような私の病状でしたが、長谷川先生のホームページや、購入した書籍を何度も読み込むことによって、痛みが軽減するという体験をしたのです。妻が、「きっと立てるよ!」と励ましてくれたので、その晩、家の中で歩行訓練を再開することができました。翌日には数キロの散歩をこなしていました。
外出の自信ができたところで、長谷川先生との個人面談、つづいて1日セミナーを受けたところ、腰痛はほぼ完全になくなりました。少なくとも、私の場合は、あの激痛が、すべて大脳が創りだしたまぼろしであったことが証明されたのです。
ちなみに、長谷川先生のセミナーでは、治療行為のようなことは一切しません。どちらかというと科学的な講義です。医療迷信、医療の誤謬をときに最新の研究成果などを引用しながらひとつひとつ反証していくのです。医療迷信とは例えば、
「腰痛の急性期は安静にしなければいけない」
「腰痛の急性期はコルセットが有効である」
「年齢とともに腰痛が悪化する」
「重労働で腰痛が悪化する」
「姿勢が悪いと腰痛が悪化する」
「一度腰痛を患うと癖になる」
「腰痛の原因は椎間板ヘルニアなどによる神経の圧迫である」
そして極めつけが、
「二足歩行したときから腰痛は人類の宿命である」
これ強烈なパラダイムですよね。こんなひどいこと誰が言い出したんだろう。じゃあ進化っていったいなんなんでしょう。憤りさえ覚えます。
このパラダイムに対しては、長谷川先生のユーモアあふれる反論がとても印象に残っています。
曰く、「じゃあペンギンは4000万年前から腰痛に苦しんでいますか?」と
(注:筆者の記憶によるものです)
なんか笑っちゃいませんか?
「そんな話を聞くだけで、地獄絵図から脱出できる訳などない!」
という反論が聞こえてきます。経験されていない方がそう思うのも無理はありません。でも、少なくとも私はこの方法で腰痛の苦しみから脱出しました。
42歳の厄年の悪夢の話に戻りますが、私はとりあえず有休とリフレッシュ休暇をかき集めて2週間の時間をつくり、セミナー受講の後は、読書療法*と散歩を日課として過ごしました。そして、2週間後には、投薬も手術もなしに、完全に社会復帰を果たしたのです。
*読書療法とは、読書による思考の整理で症状が軽くなることです。
いまでもときおり腰がうずくときはありますが、そのときは、「あっ来たな、体のメッセージが。はいはいわかってますよ大丈夫だから。」と心の中で唱えるだけで気づいたら痛みのことなど忘れているし、実際痛みはなくなっているのです。
これ、本当だったらすごいと思いませんか?
次回は、1日セミナーに関するもう少し詳しい情報や、最新の研究に関するリンクなど、保存版的な内容にしたいと思います。
今回も最後までお読みいただき誠にありがとうございました。
※本記事の内容は、筆者の個人的経験と見解に基づくものです。